「目配り・気配り・心配り」という言葉があります。社会人になってから何度か耳にしてきた言葉ですが、この3つの大切さを一番身に染みて感じたのは、総務部で働いていた時期でした。
今日は、総務部時代に気づいたこと、そしてそれが今の事務職でも、育児でも活きていると感じることをお話しします。
総務部は「全部署とつながる」仕事だった
総務部というのは、会社の中で唯一、すべての部署と関わる部門だと私は思っています。営業・経理・人事・開発・現場——どの部署の人とも仕事上の接点があります。備品の管理、社内手続きのサポート、来客対応、社内行事の運営など、担当する業務は多岐にわたります。
最初は「なんでも屋みたいな仕事だな」と感じていましたが、経験を重ねるうちに、この「全部署との関わり」こそが総務部の醍醐味だと気づきました。いろんな部署の人の仕事を近くで見られる、いろんな人の悩みを聞ける——それが、仕事の視野を広げてくれました。
「ちょっとしたことに気づく」が信頼をつくる
総務部で働く中で、私がずっと大切にしてきたことがあります。それは「ちょっとしたことに気づいてあげること」です。
たとえば、コピー機の近くに置いてある記入用紙が残り少なくなっていたとき。自分が使う分だけ取って終わりにするのではなく、「次に使う人のために補充しておこう」と動く。これだけのことです。でも、この「次の人のことを考える」という習慣が、職場での信頼をじわじわと作っていくのだと感じています。
他にも、誰かが重そうな荷物を持っていたら声をかける。会議室の椅子が乱れていたら整える。お茶が切れかけていたら補充する。ひとつひとつはとても小さなことですが、こういった積み重ねが「あの人はよく気がつく人だ」という印象につながります。
「目配り・気配り・心配り」それぞれの違い
この3つは似ているようで、少しずつ意味が違います。
目配りは、周囲をよく見て状況を把握することです。「あの用紙が減っている」「あの人が困った顔をしている」と気づくこと。まず見ることから始まります。
気配りは、気づいたことに対して先回りして行動することです。「減っているなら補充しておこう」「困っているなら声をかけよう」と動くこと。目配りの次のステップです。
心配りは、相手の気持ちに寄り添うことです。「今この人は忙しそうだから声をかけるタイミングを見計らおう」「これをしてあげたら喜ぶかもしれない」と考えること。行動の背景に相手への思いやりがある状態です。
この3つが揃ったとき、「あの人に頼みたい」「あの人に相談したい」と思ってもらえるようになると、総務部での経験から学びました。
気配りができると「頼られる人」になれた
総務部で目配り・気配りを意識して動くようにしてから、少しずつ変化が現れました。他の部署の人から「ちょっと相談してもいいですか?」と声をかけてもらえることが増えたのです。
仕事上の手続きのことだけでなく、職場の人間関係の悩みや、業務の進め方についての相談まで。「なぜ私に?」と最初は不思議に思いましたが、「いつも気にかけてくれているから話しやすい」と言っていただいたとき、腑に落ちました。
目配り・気配り・心配りは、「いい人キャラを演じる」ことではありません。相手のことを本当に思って動くことで、自然と信頼関係が生まれるのだと思います。頼られることで仕事が楽しくなり、またがんばろうと思える。良い循環が生まれました。
この気づきは育児でも活きている
総務部で磨いた「目配り・気配り・心配り」の感覚は、実は育児でも役に立っています。
子どもは言葉で上手く伝えられないことが多いです。特に下の子はまだ1歳で、泣き方や表情、しぐさから「何を求めているか」を読み取る必要があります。これはまさに「目配り」です。
上の子(5歳)も、「疲れた」「眠い」「寂しい」を言葉にしないことがあります。帰宅してからいつもより静かだな、ご飯をあまり食べないな——そういったサインを見逃さないようにすることで、「どうしたの?」と声をかけるタイミングを掴めます。
子どもが「次に何を必要としているか」を先読みして準備しておくのも、職場での気配りと同じ感覚です。お風呂の後にパジャマを用意しておく、翌朝の保育園の荷物を前日の夜に整えておく——子どものためにひと手間かけることが、朝のバタバタを防いで、結果的に自分も楽になります。
「次の人のことを考える」という習慣
記入用紙を補充するという小さな行動の根底にあるのは、「次に使う人のことを考える」という思考です。この習慣は、仕事でも育児でも日常生活でも、あらゆる場面で使えます。
洗濯物を畳んだあとに次の洗濯の準備をしておく、冷蔵庫の食材が減ってきたら買い物リストに書き留めておく、子どもの保育園の連絡帳を翌日の朝ではなく前日夜に書いておく——「次のことを見越して動く」ことが、毎日の生活をスムーズにします。
総務部での経験が、今の私の仕事スタイルと生活スタイルの土台になっています。目配り・気配り・心配り。シンプルだけど、奥が深い。これからも大切にし続けたい言葉です。

