「雑用のプロになれ」
新入社員のころ、総務部の部長に言われたこの言葉が、今でも忘れられません。
当時は正直、まったくピンときませんでした。むしろ「私は雑用係になりたくて入社したんじゃない」と、心の中で反発していたくらいです。
でも今になって、あの言葉の意味がよく分かります。
雑用ばかりで悩んでいる人に、どうしても伝えたくてこの記事を書きました。
入社して最初の仕事は、ぜんぶ「雑用」だった
私が新入社員として配属されたのは、総務部。正社員としてのスタートでした。
任された仕事は、
- 電話応対
- 来客応対
- 備品管理
- 郵便物の仕分け・配布
- 郵便の発送
- 情報誌の印刷・発送
……いわゆる「雑用」と呼ばれるものばかり。
毎日これの繰り返しで、私の中には少しずつ不満がたまっていきました。「これっていつまで続くんだろう」「もっとちゃんとした仕事がしたいのに」と。
「もっと重要な仕事がしたい」と伝えた日
ある日、私は思い切って部長に気持ちを伝えました。
毎日雑用ばかりで、もっと重要な仕事もしてみたい——と。
部長は、50代の男性。「仕事は楽しく」がモットーで、気前のいい人でした。
その部長が返してくれた言葉が、あの「雑用のプロになれ」でした。そして、こう付け加えたんです。
雑用も大事な仕事だよ。
正直、そのときの私は納得できませんでした。でも、言われっぱなしなのも悔しい。だから私は、開き直って雑用をすべて完璧にこなすことに決めました。
「雑用のプロになれって言うなら、なってやろうじゃないか」——そんな気持ちでした。
雑用を極めたら、まわりの反応が変わってきた
完璧にこなすと決めてから、少しずつ周りの反応が変わっていきました。
「分からないことがあったら、あの人に聞こう」
そう言ってもらえることが増えたんです。
社員から相談を受ける機会が増え、気づけば他部署の人からも声をかけられるようになりました。
電話応対も、備品管理も、郵便も、来客対応も。一つひとつは小さな雑用だけれど、全部きちんとやっていると、「この人に聞けば分かる」という信頼に変わっていく。
雑用は、ただの雑用じゃなかった。会社のいろんなことが集まってくる、情報のハブのような役割だったんだと、後から気づきました。
不思議なもので、「完璧にやってやる」と決めて手を動かしているうちに、嫌だった気持ちはいつのまにか薄れていきました。きちんとやればやるほど任される範囲が広がって、それがまた自分の自信になっていく。雑用は、こなすほどに「自分にしか分からないこと」が増えていく仕事でもあったんです。
退職してから言われた「いなくなって困った」
この言葉の意味を一番実感したのは、実は会社を辞めたあとでした。
退職後に、「あなたがいなくなって困った」と言ってもらえたんです。
在職中の人から聞いた話では、年末の大掃除の準備の進め方が分からず、苦労したのだそうです。
私にとっては当たり前にやっていた「雑用」が、いなくなって初めて「あの人がやってくれていた大事な仕事」だったと気づいてもらえた。
雑用は、できているときは目立たないけれど、なくなった瞬間にその大きさが分かる仕事なんだと思います。
あのときの雑用が、今の私の土台になっている
総務で雑用を極めた経験は、今の私の働き方の土台になっています。
どんな仕事に対しても、「とりあえずやってみよう」と思える。頼まれた仕事は、なんでもやる。コピー用紙の補充みたいな細かいことにも、自然と気配りができる。
これって全部、あの「雑用のプロになれ」の日々で身についたものなんです。
雑用を通して、仕事の全体が見えるようになり、人から信頼される動き方が分かるようになった。だから今、事務職のワーママとして時間に追われながらでも、落ち着いて仕事を回せています。
まとめ
雑用ばかりで悩んでいる人に、一番伝えたいことがあります。
今やっているその仕事は、いつか「大事な仕事だった」と思える日がきます。そして、間違いなくあなた自身の土台になります。
私も新入社員のころは、雑用が嫌で仕方ありませんでした。でも、悔しさをバネに全部完璧にこなしたあの経験が、今の私をつくっています。
「雑用のプロになれ」
あのとき部長がくれた言葉に、今は心から感謝しています。
雑用は、立派な仕事です。腐らず、丁寧に積み重ねてみてください。その先に、きっと信頼が待っています。
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